京都市立西京高校附属中学
2020年11月2日(月)・9日(月)・17日(火)の3日間、京都市立西京高校附属中学で、「特別授業」が開催されました。2005年にはじまった「特別授業」は今年で15回目。11月2日と17日の授業は中学3年生全員が参加。9日の授業は各クラスに分かれて、講師も生徒もマスクをつけて「特別授業」が行なわれました。
テーマ | 講師 |
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経済入門 | 大竹文雄・大阪大学教授 |
人類の経済活動の規模と地球生態系の扶養能力:エコロジカル・フットプリントを使って考えてみよう | 和田喜彦・同志社大学教授 |
経済学から見たSDGs | 上須道徳・大阪大学准教授 |
経済と環境問題~環境を守る経済政策~ | 内藤登世一・京都先端科学大学教授 |
経済と人的資本:君たちはなぜ学ぶのか | 西村和雄・京都大学名誉教授・神戸大学特命教授 |
経済入門大竹文雄・大阪大学教授
「社会はこれから先どのようになっていくのだろうか」、という疑問をもったことはありませんか。また、「どうすれば、この社会の中でうまく生きていけるだろうか」という疑問はどうでしょうか。こうした疑問に答えるためには、私たちの社会がどういう仕組みで動いているか、私たち人間はどういう行動をとるのかを理解する必要があります。つまり、経済の考え方を理解することです。この講義はその第一歩です。
<生徒の「感想」から>
「(行動)経済学が私たちの生活と深くかかわっていることを実感しました。「経済」というと数字と使って論理的に考えていく数学に近いイメージを持っていましたが、人の気持ち・心理を考える想像力や社会の仕組みに関する知識とその問題点を見抜く洞察力などさまざまな力が求められることを知りました。私たちは生活をする中で様々な判断をし、正誤・善悪・損得などを考えますが、自分の価値観にとらわれず、いろいろな視点から何が最も良い選択かを考えることが重要だということに気づかされました。(N・K)
人類の経済活動の規模と地球生態系の扶養能力:エコロジカル・フットプリントを使って考えてみよう和田喜彦・同志社大学教授
世界の経済規模は拡大し続け、エネルギーの使用量や食料の消費量が増加の一途をたどっています。太平洋クロマグロやニホンウナギのように捕り過ぎが原因で資源量が急に減っている魚たちが目立ってきました。「経済活動が活発になることによって地球生態系に負担をかけすぎているのでは?」「今のような行け行けドンドンの経済運営が続いたならば健全な地球生態系は維持できなくなるのでは?」といった疑問をもったことはありませんか。エコロジカル・フットプリントはこうした疑問に科学的に答えるためにつくられた環境負荷のものさしです。
<生徒の「感想」から>
省エネや節約のことはいろいろなところで聞くし、やったほうがいいというのはわかっていたけれど、自分がどれだけ節約いいかはわかっていませんでした。だから、エコロジカル・フットプリントを使って、自分の生活が地球1.7個分だとわかって、地球1個分を目指すという具体的な目標を持つことができてよかったです。国ごとのグラフや数値を見て、せかいで大きな格差があることもわかりました。(I・H)
経済学から見たSDGs上須道徳・大阪大学准教授
経済成長は一人当たりの所得を上昇させ、貧困の解消や豊かな生活を人間社会にもたらしてきました。一方、経済活動の拡大は地球環境問題や資源の枯渇問題を引き起こし、人間社会の存続を脅かすまでになっています。また、経済発展の恩恵からとり残された国や地域、貧困にあえぐ人が存在しています。持続可能な開発(Sustainable Development Goals=SDGs)はこうした背景から生まれた国際的な発展の概念です。本授業ではSDGsにおける重要な概念を、経済学を通して学び、経済発展や経済成長の意味について皆さんと考えてみたいと思います。
<生徒の「感想」から>
SDGsについて本質的なことを掴むことができました。GDPや包摂性など新しい言葉を知ることができてよかったです。また、日本だけではなく世界という広い視点でGDPを考えることにより、これからの社会がどうなっていくのか、よい方向に向けるにはどうすればよいのかが見えてくると思いました。さらに、貧困問題が飢餓や健康と深く関係していることもよくわかりました。(O・M)
経済と環境問題~環境を守る経済政策~内藤登世一・京都先端科学大学教授
一般に、経済が発展すると環境問題が起こるため、経済は環境を破壊する悪者だと思われがちです。しかし、実際には逆に経済が環境を守ることもできるのです。そのことを、経済学の考え方を通して理解することを目的とします。環境問題が起こる原因について考えることから始め、いくつかの経済学の原理やアイデアを紹介しながら、環境を守るための経済政策について解説します。最後に、生徒諸君が企業者になって実際に「排出量取引」を体験し、そのしくみや優れた利点についての理解を深めます。
<生徒の「感想」から>
パリ協定については知識として知っていたけれど、具体的にどうやってCO2を削減するのかずっと疑問に思っていたので、今日知ることができてよかったです。国がCO2を減らすというイメージがあったけれど、排出量取引を行えば企業が積極的にCO2を減らそうとすることがわかってすごいと思いました。環境問題を経済の観点から考えるというのは新鮮でとても面白かったです。(I・T)
経済と人的資本:君たちはなぜ学ぶのか 西村和雄・京都大学名誉教授/神戸大学特命教授
「なぜ勉強しなければいけないのか」そして「何を勉強したらいいのか」という疑問をもったことはありませんか。また、「正直者は損をする」と思ったことはないでしょうか。それが経済学ではどういう意味なのかを、 今回の講義で一緒に考えてみましょう。
<生徒の「感想」から>
「守・破・離」については親から話を聞いていたことなのでとても納得しました。また、勉強をすることで将来の選択肢が増えるということがよくわかりました。私は、「なりたいもの」に近づくために勉強するんだと思ってやってきたので、それが案外間違っていないことも分かったし、それを経て自己決定ができれば達成感につながり、幸福度も上がるという派内だったので、今の勉強への努力を止めないようにしたいと思います。(O・H)