京都市立西京高校附属中学で「特別授業」

10月から11月にかけて、京都市立西京高校附属中学で、「特別授業」が開催されました。2005年にはじまった「特別授業」は今年で12回目。1回目と4回目の授業は中学3年生全員が参加。2回目は各クラスでそれぞれ「特別授業」が行なわれました。

テーマ講師
経済学の考え方大竹文雄・大阪大学教授
経済と環境問題内藤登世一・京都学園大学教授
経済学から考える食糧問題上須道徳・大阪大学准教授
シェア・エコノミーとは?西村理・同志社大学名誉教授
君たちはなぜ学ぶのか西村和雄・神戸大学特命教授/京都大学名誉教授

経済入門大竹文雄(大阪大学教授) 10月24日(月)

「社会はこれから先どのようになっていくのだろうか」、という疑問をもったことはありませんか。また、「どうすれば、この社会の中でうまく生きていけるだろうか」という疑問はどうでしょうか。こうした疑問に答えるためには、私たちの社会がどういう仕組みで動いているか、私たち人間はどういう行動をとるのかを理解する必要があります。つまり、経済の考え方を理解することです。この講義はその第一歩です。

感想から:「経済の奥深さを知りました。心理学と経済学を融合させた考え方がすごく面白かったです。」(Y・I)

シェア・エコノミーとは?西村 理(同志社大学名誉教授) 11月7日(月)

私たちが住んでいる社会は、「競争的」な面があったり「共有的」な面があったりします。ちょっと難しい言葉ですが、「競争的」とか「共有的」というのはどういうことなのでしょうか。また、「競争」と「共有」にはそれぞれのどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。授業では経済学を使って「競争」と「共有」について解説した後、いくつかの具体例を取り上ながら、それぞれのメリットとデメリットについてみんなで考えていきたいと思います。

感想から:「自分がいる立場や環境が変わると、同じ状況でも考え方が変わるということがわかりました。後半の話し合いでは、いろいろな『シェア』があることがわかりました」(O・U)

経済と環境問題―環境を守る経済政策」内藤登世一(京都学園大学教授) 11月7日(月)

一般に、経済が発展すると環境問題が起こるため、経済は環境を破壊する悪者だと思われがちです。しかし、実際には逆に経済が環境を守ることもできるのです。そのことを、経済学の考え方を通して理解することを目的とします。環境問題が起こる原因について考えることから始め、いくつかの経済学の原理やアイデアを紹介しながら、環境を守るための経済政策について解説します。最後に、生徒諸君が企業者になって「排出量取引」の実践を行い、そのしくみや優れた利点についての理解を深めます。


感想から:「Co2排出量を直接規制するよりも排出量取引をしたほうがかかるコストが圧倒的に安く済むということに驚きました。」(S・I)

経済学から考える食糧問題」上須道徳(大阪大学准教授) 11月7日(月)

食糧は私たちが暮らしていくうえで欠かせません。日本では肥満が問題になるなど飽食にありますが、世界には飢えに苦しんでいる人が10億人以上いるといわれています。一方、日本は多くの食糧を外国に依存していますが、今後、世界の食糧の需要は急増するといわれています。この授業では、これら状況を食糧問題として考え、その現状について経済学の視点から学びます。そして、科学技術分野、経済学分野における最先端の研究を紹介しながら、その解決法についてみなさんと考えたいと思います。

感想から:「私たちには、基本的に“飢え”は少し遠い存在で、逆にたくさん無駄にしてしまっている時さえあり、無関心なところがあると思います。だから今回改めて“自分たち(地球”の問題として考えられたのはよかったです。)(A・O)

君たちはなぜ学ぶのか」西村和雄(神戸大学特命教授/京都大学名誉教授) 11月10日(木)

「なぜ勉強しなければいけないのか」そして「何を勉強したらいいのか」という疑問をもったことはありませんか。また、「正直者は損をする」と思ったことはないでしょうか。今回の講義で、経済学の話をまじえながら、一緒に考えてみましょう。

感想から:「文系と理系、数学・理科の違いで将来の所得が変わってくるというのがしっかりと数字で出ていてびっくりした。子供の時に親によく言われていたことが将来の所得に関係するというのは驚き。」(N・O)