大阪府立三島高校(経済教育ネットワークとの共催)

大阪府立三島高校で「特別授業:経済入門」が実施されました。
経済教育ネットワーク(http://www.econ-edu.net)との共催でな行なわれた今回の企画は、 三島高校の1年生全員にクラス単位で全2回の「経済のイントロダクション」を聴いてもらおうというものです。

テーマ講師
「市場の設計と知的財産権」槙 太一(京都学園大学経済学部准教授)
「経済学の考え方」坂田 圭(立命館大学経済学部助教授)
「少子高齢化と日本の経済の課題」篠原総一(同志社大学経済学部教授)
「くらしと経済」野間敏克(同志社大学政策学部助教授)
「ゲームと生活」村上英樹(神戸大学経営学部准教授)
「経済学で読み解く現代社会」浦坂純子(同志社大学社会学部助教授)
「ゲームとビジネス」村上英樹(神戸大学経営学部准教授)
「AIDSと抗レトロウィルス薬(ARV)」槙 太一(京都学園大学経済学部准教授)
「経済学の考え方」坂田 圭(立命館大学経済学部助教授)
「少子高齢化と日本の経済の課題」篠原総一(同志社大学経済学部教授)
「くらしとお金」野間敏克(同志社大学政策学部助教授)
「数学マスターし給料アップ?」浦坂純子(同志社大学社会学部助教授)

コーディネーター 堀岡治男(経済知力フォーラム専務理事)

市場の設計と知的財産権槙太一・京都学園大学経済学部准教授 [2007年09月20日(木)] 

20日(木)の3限目(10:30-11:20)は、5組と7組を対象に、京都学園大学経済学部准教授の、槙太一先生による特別授業「市場の設計と知的財産権」が行なわれました。 まず、「売り手」と「買い手」が出会い、(継続的に)「交換」を行なう場である「市場」では、 モノやサービスの所有者が明確であることが前提になっていることが説明された後、アメリカのナップスターが開発した ファイル共有ソフトなどを例にして、市場における「知的財産権」の扱いについての説明がなされました。 終了後のある生徒の感想は、「ちょっと難しかった」。

2007三島高・槙1

経済学の考え方坂田圭・立命館大学経済学部助教授 2007年09月21日(金)

21日(金)は、1限目(8:30-9:20)が4組、2限目(9:30-10:20)は1組が、それぞれ立命館大学経済学部助教授の、坂田圭先生の特別授業「経済学の考え方」を受けました。人々は費用と便益を比較して意思決定していること、費用と便益が変われば人々の行動も変わることなどが説明されたあと、石油価格の高騰やリサイクル法が人々の「インセンティブ」に、どのような影響を与えるかを考えました。生徒の感想は「おもしろかった」。

2007三島高・坂田1

少子高齢化と日本の経済の課題篠原総一・同志社大学経済学部教授(経済知力フォーラム理事長) 2007年09月21日(金)

さらに4限目(11:30-12:20)には、3年生の有志を対象にした「特別授業:時事問題」も行なわれました。 講師は、経済知力フォーラム理事長で同志社大学経済学部教授の篠原総一先生。 テーマは「少子高齢化と日本の経済の課題」。1回目の今回は、図表を読み解きながら 「少子高齢化社会」の定義などについて考え、次回までの宿題は、少子高齢化にどのように対処すればいいかを考えてくること。 「答えはひとつではない」とのことですが、どのような答えが出るか楽しみです。

2007三島高・篠原1

くらしと経済野間敏克・同志社大学政策学部助教授 2007年09月21日(金)

5限目(13:10-14:00)は、同志社大学政策学部助教授の野間敏克先生の、2組を対象とした特別授業「くらしと経済」。経済はみんなの生活に関わることだという解説の後、働いているのに貧しい人々(ワーキングプア)について、どうすればよりよくできるかを考えました。「もっと働けばよい」「仕事を変えればよい」「最低賃金を上げればよい」など、いくつかの答えが出ましたが、どの答えももっともなものだと解説した後、野間先生は「経済学ではひとつの正解があるわけではない」と説明。
2007三島高・野間1

ゲームと生活村上英樹・神戸大学経営学部准教授 2007年09月21日(金)

6限目(14:10-15:00)は、神戸大学経営学部准教授の村上英樹先生による、特別授業「ゲームと生活」が6組・8組合同で行なわれました。ゲームを普段の生活に当てはめて考えてみようという一風変わった「経済学入門」で、警察でのドロボーの取り調べや「彼と彼女のデート」などを例に、幸せ度と不幸せ度の組み合わせから、それぞれがどのような行動をするかを考えました。生徒たちもワイワイがやがやと参加、にぎやかな授業でした。

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経済学で読み解く現代社会浦坂純子・同志社大学社会学部助教授 2007年09月25日(火)

後半の「特別授業」がはじまりました。
1限目(8:30-9:20)は、同志社大学社会学部助教授の浦坂純子先生の特別授業「経済学で読み解く現代社会」 。対象は1年3組。サブタイトル「数学マスターし給料アップ?」をみて絶句する生徒もいましたが、入試で数学を選択しなければ年収に響くという「仰天調査」の内容紹介となぜそのような調査を行なったのか説明を受けて納得顔。経済学という学問がさまざまな応用問題に適用できることを知り、生徒の感想は「普段聞かないような内容だったので興味深かった」とのこと。

2007三島高・浦坂1

ゲームとビジネス村上英樹・神戸大学経営学部准教授 2007年09月25日(火)

2限目(9:30-10:20)は6組、3限目(10:30-11:20)は8組を対象に、 神戸大学経営学部准教授の村上英樹先生 による2回目の特別授業 「ゲームとビジネス」 。激化する家電量販店の競争や空港などで共生する土産物店などを題材に、ゲームの考え方を通してビジネスや経済を考えるというものでした。授業を受けた生徒の一人は、「今までこういう勉強をしたことがなかったのでとてもためになった。この授業を通してこれからの自分の生き方や考え方を良い方に変えていきたいと思う」という感想を寄せてくれました。

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AIDS と抗レトロウィルス薬( ARV )槙太一・京都学園大学経済学部准教授 2007年09月26日(水)

26 日(水)は、槙先生、坂田先生、篠原先生の2回目の「特別授業」が行なわれました。
4限目(11:30-12:20)は1年5組、7限目(15:10-16:00)は1年7組を対象に、槙太一先生の特別授業「市場の設計と知的財産権」の2回目が行なわれました。今回のテーマは「AIDS と抗レトロウィルス薬( ARV )」。新薬の開発には莫大な費用がかかり、リスクが大きく、模倣が簡単なことから ARV が高価であり、アフリカの貧しい国々では使えないという中で、どのように市場を設計したらいいのかを考えました。

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経済学の考え方坂田圭・立命館大学経済学部助教授 2007年09月26日(水)

6限目(14:10-15:00)は、坂田圭先生の特別授業「経済学の考え方」の2回目が1組・4組合同で行なわれました。テーマは「相関関係と因果関係」。相関関係と因果関係についての簡単な解説のあと、「所得と消費」「失業率と自殺率」「教育年数と所得」などについて、相関関係があるのかどうか、因果関係とその方向などについて議論しました。さらに、「イイ男と結婚」の関係についての説明がありましたが、「結婚については考えたこともないので、よくわからなかった」というもっともな感想も……。

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少子高齢化と日本経済の課題篠原総一・同志社大学経済学部教授(経済知力フォーラム理事長) 2007年09月26日(水)

7限目(15:10-16:00)には、3年生を対象にした篠原総一先生の特別授業「時事問題:少子高齢化と日本経済の課題」の2回目が行なわれました。今回のテーマは「年金」。篠原先生は、マスコミで話題になっている「年金不正問題」がたとえ解決されたとしても、今の日本の年金システムでは、生徒たちが高齢者になったときには十分な給付が受けられないことを、さまざまな統計データな実証データなどを使って説明し、「だから『年金問題』は君たちの問題だ」と力説されました。
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くらしとお金野間敏克・同志社大学政策学部助教授 2007年09月28日(金)

28 日(金)の3限目( 10:30-11:30 )は、2組を対象とした 野間敏克先生 の特別授業 「くらしと経済」 の2回目が教室で、 浦坂純子先生 の特別授業 「経済学で読み解く現代社会」 の2回目が図書室で、それぞれ行なわれました。今回の野間先生授業のテーマは 「くらしとお金」 。おカネの流れは人間の身体をめぐる血液のようなもので、経済にとって重要であるという説明をしたあと、野間先生は、 1000 円札を手にしながら、「人はなぜ印刷された紙にすぎないこの 1000 円札を受け取るのか」と質問。生徒たちは、おカネの機能や「信用」の重要性などについて学びました。
2007三島高・野間2

数学マスターし給料アップ?浦坂純子・同志社大学社会学部助教授 2007年09月28日(金)

浦坂先生の授業は 「数学マスターし給料アップ?」 の2回目。前回に引き続き、大学入試で数学を選択した学生のほうが卒業後の年収が高いという調査結果の説明が、テレビ番組で紹介されたビデオなどもまじえてあり、生徒たちは経済学をつかうと現代社会のいろいろな側面を読み取ることができると納得顔でした。浦坂先生は生徒に向けて最後にひとこと――「国を治め、民を救うこと」(経世済民)が経済学の目的であることも忘れないように。
2007三島高・浦坂2
経済教育ネットワークとの共催の三島高校での「特別授業」は無事終了しました。

堀岡治男(経済知力フォーラム専務理事)